1864年7月8日、時刻は22時――京都三条木屋町の旅籠・池田屋の一室で、尊皇攘夷派の志士たち20人あまりが密かに集まっていました。

彼らは御所焼き討ちの計画を練っている最中だったのです。

「御用改めである!」

22時過ぎ、そこに新撰組局長、近藤勇、助勤の永倉新八、沖田総司、藤堂平助が、わずか4人で突入します。池田屋での新撰組の獅子奮迅の活躍により、御所の焼き討ちは未然に防がれ、京都の町も守られたのです。

さて、この「池田屋事件」の舞台となった池田屋は、1960年ごろまでは当時の建物が現存し「佐々木旅館」が営まれていましたが、廃業した後は取り壊され、テナントビル、パチンコ店と看板を変え、2009年に新撰組をテーマにした居酒屋「旅籠茶屋 池田屋 はなの舞」がオープンし、現在に至ります。

池田屋事件発生と同じ22:00、三条木屋町「旅籠茶屋 池田屋 はなの舞」へ突入、食事レポートをお送りします。

 

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当時の池田屋を意識した内装。

「旅籠茶屋 池田屋 はなの舞」、その店先に提げられる大きな提灯には明かりが灯され、引き戸が開く度、軒瓦の下ののれんが揺れ、店内の喧騒が聞こえてきます。

1度、反対側の道路に回って店の全体を見てみると、実際はコンクリートの現代建築であることがわかるのですが、店先にいたっては当時の池田屋を意識した内装となっています。

「池田屋騒動之址」と刻まれた店先の石碑の前で、赴きある店の出入り口を見ていると、会社帰りの地元の人たちが連れ立って入って行く姿が見られます。

しかし、その一方で、石碑の前で一眼レフのシャッターを切っていた女性が、1人で店内に入ったり、旅行者らしい装いの男性が興味深そうにのれんをくぐったり、新撰組ファン、歴史に興味のある人たちも来店していきます。

 

今宵旅籠御改メと近藤勇が池田屋に乗り込んだ場面をイメージしながら、池田屋の店内に入ります。入店すると、新撰組の隊服を着た女性スタッフが対応してくれます。女性スタッフに案内され、2階へ続く長い階段を上って行きます。

この階段、なんと8メートルもあるそうです。2階へ上がると、当時の池田屋の帳場が再現されたスペースがあります。新撰組隊士たちの模造刀も展示されています。

案内された個室には、すでにお箸や小皿、ペーパーコースターが用意されていました。コースターには「歴史を愛し、名節を重んずる者は、暫く此処に歩みを止めよ。此処は「池田屋騒動」の跡地也」の一節と、池田屋に突入する隊士たちを描いたイラストがプリントされています。

メニュー表を開いてみると、「はも」や「生麩」、「ゆば」など、京都ならではの食材を使った料理が多く揃っています。勿論、居酒屋なので、ビールからサワーまで、アルコール類も豊富ですし、単品メニューも充実しています。

「旅籠茶屋 池田屋 花の舞」と新撰組を題材にした人気ゲームのコラボメニューも展開されていて、それぞれメニューに新撰組隊士の名前がついているので、ゲームのファンはもちろんのこと、ゲームを知らない新撰組ファンでも楽しめます。

 

獰猛で生命力が強いはもは、かつて交通手段がなかった時代、生きたまま運ぶことができる数少ない魚でした。今では京都を代表する食材となっています。

当時、京都にいた新撰組隊士も幕末の志士たちも、はもを食べていたかもしれません。そこで「はもと都野菜の梅鍋」を注文することにしました。新撰組隊士の名前がついたノンアルコールも頼んでみました。

注文をとりに来た女性スタッフは、ネームプレートの下に「土方命」と書いてあり、とても印象に残りました。

 

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はもと都野菜の梅鍋。

最初に飲み物が運ばれて来ました。
今回頼んだのは、みかんベースにカルピスとソーダを合わせた八番組組長。

八番組の組長と言えば、池田屋で奮戦し、額を負傷した藤堂平助です。
飲んでみると、ほろ苦いみかんの風味に、まろやかなカルピスとさわやかな炭酸が合わさって、ぐいぐいと飲むことができる味わいです。

はもと都野菜の梅鍋を待っている間、メニュー表と一緒に置かれていた、新撰組隊士の資料に目を通します。A4のコピー用紙いっぱいに、隊士ひとりの説明がぎっしりと書かれていて読み応えがあります。

 

はもと都野菜の梅鍋が運ばれて来ました。カセットコンロをセットして、鍋の中が煮立ったところに、自分で具材を入れていきます。程よく火が通ったところで、さっそく食べます。

まず、鍋のつゆの味は、すっきりとした塩ベースで、くせのないあっさりとした味わいのはもは、こりこりとした食感がアクセント、しゃきしゃきとした風味のいい都野菜もとてもおいしく、梅の酸味がよく合います。

 

甘い物が欲しくなり、最後にいちごのベースに牛乳を合わせ、ホイップをトッピングした、ノンアルコールの十番組組長を注文してみました。

十番隊組長は、原田左之助です。
池田屋事件では土方歳三と共に遅れて駆けつけながらも加勢しました。
飲みやすいいちごミルクのようで、女性が好む味という印象です。

伝票を持ち、8メートルの長い階段を、一段一段、歴史を思いながら踏みしめて降りて行くのでした。

 

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