壬生という地名にも残るとおり、壬生の地は古くから水に恵まれ、藍をはじめ壬生菜や菜種の産地として知られていました。重要無形民俗文化財の壬生狂言に使われる浅葱色の手拭いは、壬生の特産である藍で染めたものです。

壬生の地に屯所を構えた新撰組は、その隊旗や隊服に、この浅葱色を拝借しました。新撰組の屯所として屋敷の離れを提供した八木家は、壬生狂言では筆頭宗家を務める壬生住人士の家柄でした。

文久3年3月16日、八木家の門に「平肥後守御領新選組宿」という新しい表札を掲げ、ここに新選組が誕生したのです。往時は壬生の藍で染められた新撰組隊旗が門前ではためき、その前を隊服をひるがえして隊士たちが駆けて行ったのでしょう。新撰組八所の地、八木邸をたずねます。

 

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現在は和菓子店を営んでいる。

京都駅烏丸口のバスターミナルから、市バス26、28系統のバスに乗車、壬生寺道バス停で降ります。バスの乗車時間は30分程度、四条通から坊城通へ。

坊城通を2分ほど歩くと、瓦屋根の軒下に白いのれんが下げられた古い建物にたどり着きます。のれんには「御菓子司 京都鶴屋 鶴壽庵」と黒字で書かれています。店先のウィンドウには美味しそうな和菓子が並んでいます。

 

この鶴屋の入口を回ると、趣のある和菓子屋の店舗から一変、堂々と誠の旗が掲げられた長屋門が姿を現します。

新撰組屯所八木邸は、現在は敷地内で和菓子店を営んでいます。八木家の子孫が経営する鶴屋は、京都でも老舗の和菓子屋として知られています。

現在、京都市指定有形文化財に指定されている八木家は見学ができます。

 

まずは鶴屋店舗前のカウンターで受付をします。入場料にはガイド料が含まれ、さらに抹茶と鶴屋で販売されている屯所餅がセットになっています。

長屋門から入ると右手すぐに屋敷があり、玄関でくつを脱いで上がります。中の間には膝丈ほどの近藤勇の像や立派な仏壇がありました。この中の間で、ガイドの方による八木邸の説明が始まりました。

 

ガイドの方の語り口調は、実に軽妙な京都弁、最初は江戸での浪士組の募集から上京した浪士集団の中で関東に戻らず、京都守護職御預かりとなってこの地で新撰組が発足することになった経緯が語られます。屯所となったこの八木家で起こった出来事や伝承を飽きさせることなく話してくれます。

ガイドよる説明が終わると、八木邸内を自由に見学できます。タイミングがいいと、ガイドの方と邸内を回りながらゆっくりと話すこともできます。

指定文化財の八木家を歩く。

母屋の西端には奥まで土間が通され、その土間に沿って部屋が3室ずつ、二列に配置されています。源頼朝より現在まで使われる三つ木瓜を拝領した由緒ある八木家は、武士に順ずる家系として重んじられました。

そのため、八木邸は武家屋敷と町屋、両方の側面が見られます。

本来武家屋敷は刀が振るえないよう天井を低くしていますが、八木邸の天井はそこそこの高さです。しかし、当時は武家や町人で所持できる提灯の数が決まっていましたが、八木家では武家と同じ数の提灯を持っていました。

 

八木邸の玄関には式台が設けられていますが、これは武家屋敷に見られるものです。武家屋敷と町屋、両方の特徴を備えていること、また新撰組の屯所となった歴史から、八木家は京都市指定有形文化財に指定されました。

本玄関の天井には刺又(さすまた)などの武器が設置されていますが、この刺又、1度政府に没収され、柄だけを返されたのですが、ガイドの方のお話しだと、鉄の柄の部分がついて完璧な状態なら、重要文化財に指定されてもおかしくはなかったそう。

 

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芹沢鴨・暗殺の現場

この八木邸の奥座敷は局長・芹沢鴨暗殺の舞台となりました。
1863年10月28日、どしゃ降りの雨の夜、芹沢鴨、平山五郎、平間重助の寝床が襲撃され、芹沢鴨、平山五郎が死亡しました

昭和の頃まで刺客については判然としませんでしたが、八木家の関係者が新撰組に関する取材を受けるようになり、当時現場に居合わせた八木家の妻は顔を隠してはいたものの、刺客は間違えなく土方歳三、沖田総司、原田左之助、それから山南敬助の姿もあった気がすると語り、ようやく芹沢鴨暗殺が、新撰組内部の粛清であったことが明らかになったのです。

さらに、事件前、土方歳三などが下見をしている姿も目撃されていました。

 

この時の刀傷が奥座敷の鴨居に残されています。それまで見学者が自由に触れることができたそうですが、あまりに触られすぎて傷が消えかかってしまっているため、現在ではプラスチックのカバーがかけられていました。

この奥座敷は、何代かの後に壁紙が張り替えられました。芹沢鴨暗殺時の血痕などが生々しく残っていて、住人が耐えられなかった為だそうです。

八木邸を見学した後は、鶴屋の店内で抹茶と屯所餅をいただきます。
屯所餅には壬生菜が練りこまれていて、中にはあんが包まれています。
壬生菜の歯ごたえとほんの少しの塩味が感じられました。

また鶴屋の店内では、新撰組のグッズも販売されています。
八木邸限定商品も多数あります。屯所餅も販売されているので、グッズとあわせておみやげにすることもできます。鶴屋の紙袋を提げて、新撰組隊士たちも歩いたであろう坊城通を歩いて帰りました。

 

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